« 2006年1月 | トップページ | 2006年8月 »

皇室典範改正問題 諸君!田中氏論文の疑問点

諸君!3月号掲載の田中氏の論文に意義あり! 重要な問題点を提起したい。


田中 卓氏の論文を読んでみたところ、焦点と考えられる項目は、

「[9]女帝は歴史上存在し、大宝令でも認められている」という項であろうと思う。

そこには、

----------抜粋の始まり

過去の日本で、実施に皇統が「男系男子」を基本としていることは間違いない。しかしその一方で、例外もあり、「女帝」が実際に存在されたこと(推古天皇をはじめ後桜町天皇まで、十代御八方)も、明白な歴史上の事実である。また大宝令でも「女帝」の存在を認められていて(但し、その女帝は四世以上の諸王を夫とされる。)

----------抜粋の終わり

とある。

ここで、女帝とは四世以上の諸王を夫とすると規定されており、遠い古より約二千年間、内親王が皇族以外と婚姻した場合には臣籍降下することとなっていることを踏まえると、四世以上の諸王はすべて男系男子と考えることができる。

つまり、継嗣令で言う女帝とは男系男子である四世以上の諸王を夫とすると考えることができる。

一方、今回の有識者会議の案を見ると、内親王は婚姻後も皇族として残ることができ、且つ配偶者にも皇族としての地位を与えるとある。これまで、天皇、皇太子、親王が皇族外から配偶者を迎えたことを考えれば、内親王も皇族外から配偶者を迎えることが予想される。


よって、今回の有識者会議がまとめた案により典範が改正された場合、

男系男子でない四世以上の諸王が誕生する

こととなり、以上を踏まえると、田中氏の論文は、


大宝令の継嗣令で規定された本来の意味から大きく踏みはずしてしまい、今回の有識者会議の改正案でいう「女系天皇」を支持する根拠としては不適格ではないのか

という点が大きな疑問点として浮かび上がる。

なお、この疑問は、私のつたない知識から発生したものであり、論理的に間違っていることも否定できない。その場合はコメントにてご指摘いただけると幸いである。


ちなみに、私自身は、皇位の継承者の範囲の変更は継承順位の決定と本質的に異なる判断を要し、皇室の尊厳や権威、そして皇室の根幹に関わる問題であるため、皇室典範の第1章第3条が適用されないことは元より、継承者の範囲の変更はGHQによる暗黙的強制によって皇籍を離脱された旧宮家を含めた皇族方のみで構成される皇族会議によって決せられるべきという立場を取る。また、この決定に基づく皇室典範の改正のみを政治的事項と考える。

| | コメント (6) | トラックバック (3)

« 2006年1月 | トップページ | 2006年8月 »